本研究会は、アジアの自然環境や人々の暮らしについて、学際的に意見交換する、
自由参加のオープンな会です。
研究会終了後には、懇親会も予定していますので、お気軽にご参加ください。
お知らせ次回のご案内
木部未帆子 (東京大学大学院医学系研究科)
2023年10月20日(金)17:00-18:30
対面(京都大学本部キャンパス総合研究2号館4階AA447会議室)と
オンライン(Zoom)によるハイブリッド開催です。
下記サイトより事前にお申し込みください。
(研究会当日12:00締め切り)
https://forms.gle/oVD2z9PxCYxedBtg8
苦い植物はおいしいのか?
―ラオス北部における苦味の嗜好と味覚との関連―
植物は、動物からの被食を避けるために、その進化のプロセスで苦い毒素を含有するようになった。そして草食動物やヒトなどの雑食動物は、このような植物の毒素から身を守るために、苦味の知覚と嫌悪を獲得した。ヒトは植物を食料として好ましく利用するために、ドメスティケーションや様々な食物加工技術、近年では遺伝子改変などをおこない、「苦味を抜く」努力をしてきた。ところがラオスにおいては、都市部から農村部にわたる広い地域で「苦味の嗜好」がみられる。報告者が調査を続けている北部の山村でも、住民は苦い木の葉やタケノコ、渋いバナナの花などを好んで食べている。植物分類学者によると、現地で食用とされている植物の中には、日本の分類では毒草や薬草にあたるものも含まれていた。また、野菜を栽培するときも「あえて苦味を残す」選択をしている事例がある。それでは、なぜ彼らは苦い植物が好きなのだろうか。報告者は「ラオスの人は苦味を感じにくいのではないか」という仮説を立て、2023年1-3月に北部の2か村で味覚検査を実施した。本報告では、このラオス北部における苦味の嗜好と味覚との関連について、村での植物利用の実態や近年の生業活動の変化とも絡めながら検討したい。
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